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ノート 1995年~1999年 失われた20年


 1995年1月17日阪神・淡路大震災が発生した。6,400名以上の方が亡くなり、12万戸以上の家屋が損害を被った。そしてその傷跡が癒えぬうち、3月20日には地下鉄サリン事件が発生した。また国内で最初のエイズ感染が報告された。不穏な出来事が続くなか、バブル崩壊以降続いていた金融不安を解消するため、金融ビッグバンと呼ばれる大規模な金融制度改革が行われた。これにより保険や銀行など禁止されていた兼業が許され、持ち株会社が解禁となり、一部資本家による大規模な経営支配が可能となった。日米財界人がそれを望むのは自分たちの利益追求・支配確保のため当然と言えるが、当時の橋本総理大臣は何を考えていたのだろうか。戦後、GHQ指導で軍部に協力したとみなされた三菱、三井、住友、安田といった財閥を解体するために出来た仕組みがあっさり覆された。

 ごく一部の人間だけが権限を持つと、権限がない周りはたいてい苦労する。
 これに加えて、累進課税の最高税率が1984年頃までは、所得税+住民税で90%ぐらいあったものが、55%程度に下がって、金持ちでいることがお得で楽しく、かつ他人に振舞うのが無駄と思わせる世の中に政治がしてしまった。
 昔は稼いでも税金で取られるだけだから、みんなに回そうって言っていた偉いさんが結構いた。(経費で落とせるって言う理由もあったが)
今はカルロス・ゴーンの名前を出すまでもなく、そんな話はまず聞かない。それに加えて、短期間での利益追求型の外資系資本がどっと入って株主になったりしたものだから、世の中が世知辛くなったのは当然のことだった。みなさんくれぐれも法律には気を付けましょう。法律がらみで身近な例で言うと、大店法が2000年に廃止されて町の商店街がいくつ潰れたことか。もっとも今は大型スーパーもamazon等の通販に喰われているが・・・。
 こうして社会的にも政治的にも不安定な時代となるとともに、ノストラダムスの大予言1999年7の月の世紀末が近づいて人々を不安な心地にさせた。予言など鼻で笑い飛ばしたいところだが、子供時代に埋め込まれた記憶だから、心の片隅で気になっていた。世紀末と新世紀とで多くの国民が複雑な心情を抱いていたように思う。
 この頃から後に『失われた20年』と呼ばれる時代が始まるわけだが、災害で失われたもの以外にも、何が本当に失われてしまったのか改めて考える必要があるのではないかと思う。



 この頃、音楽は邦楽ではドリカムやMr.Children、安室やgrobeと言った小室ファミリーが人気だったが、洋楽はあまりさえなかった。ヒットと言えば前年にリリースされたマライヤ・キャリーの「恋人たちのクリスマス」くらいだった。音楽の世界でも日本のガラパゴス化が始まっていたのかもしれない。
 そんな中、一人気を吐いたのがセリーヌ・ディオンで、TVドラマ『恋人よ』の主題歌『TO LOVE YOU MORE』がヒットした。


セリーヌ・ディオン with 葉加瀬太郎
TO LOVE YOU MORE (演奏はMEMPHIS 2008)

 当時、葉加瀬は芸大仲間と『クライズラー&カンパニー』を結成し、新進気鋭のバイオリニストとして人気を博していた。ビデオの中でセリーヌ・ディオンは葉加瀬のことを、日本で凄いアーティストを見つけたとベタ褒めしている。リップサービスでもいいから世界的歌手にそんなことを言ってもらいたいもんだ。


セリーヌ・ディオン
Celine Dion / My Heart Will Go On(Titanic) 1997

 こちらもセリーヌ・ディオンがらみです。今聞いても素晴らしい曲。この映画は巨大客船が流氷に衝突して沈没するお話だが、考えようによっては崩壊していく社会の中で、どう人は生き、死んでいくかを問いかけた作品とも見て取れる。
 多分、深海に沈むタイタニックの実映像が手に入ったのがきっかけだと思うけど。
 船の舳先で抱き合って両手を広げたカップルは多かったと思いますね。



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