BACK
TUBAKIの観察日記

その1 カイツブリの背中

その2 コサギのダンス

その3 鴨川のユリカモメ

その4 コゲラの巣立ち


その1 カイツブリの背中 2008.9.9

 まだ日差しのきつい九月の初旬 鴨川で初めてカイツブリの親が 雛を背中に乗せるのを見た。



 背中に雛を乗せるのは 水鳥の習性だというが、その姿は何ともいとおしく、ほほえましいものだった。
ネット検索をしても、たくさんの人がその事象にふれておられるのは、我が身が母の背に負ぶわれた記憶を呼び覚まされるからに違いない。

 その日見つけた三羽の雛は 高く成長した葦原に隠されるように作られた浮き巣のなかでうごめいていた。
 体長は目測 10センチ足らずといったところか。雛の体は、全体がウリボウのように黒と茶の縞模様で産毛におおわれている。目は縞のなかにあってはっきりと確認できない。
ヒレのついた足を後ろにのばしてしゃがんでいるといった格好。
だが、クチバシだけははっきりとしたオレンジ。
頭と胴体の大きさが ほぼ変わらない位だったので、これで体の向きがわかるといった様子。 

 両親は水中でエサ採りに忙しく もぐりの名人の名のとおり あっちでもぐったかと思えば こっちでもぐり。
雌雄の区別がつかないのもあって みているこちらは撹乱される。
 魚 貝 昆虫 甲殻類をエサとするらしいが、この日は小さな魚やエビを雛に与えているのが見られた。



 エサを与える時だけでなく 親鳥は雛の様子を 度々確認するために 巣に帰ってくるようだ。
川下から帰ってきた親鳥を見て 雛は口を大きく開け グェグェ鳴きながら近寄っていく。
雛の無事を確認した様子の親が きびすを返した瞬間 二羽の雛が置いていかないでとでもいうようにダッシュした。
ヒレのついた足を精一杯蹴って 親鳥にしがみついた。
 一羽は無事 尻のほうに着地できたが、一羽は滑り落ち泳いで巣に戻った。
親を独り占めできた雛は すぐさま 親鳥の羽のなかにもぐったかと思えば 背中の前方から 得意満面な様子で 頭だけをチョンと出した。
親鳥は羽で 雛をはさむようにして 川面を泳ぎながらも しきりと雛のほうを振り返り 
クチバシどうしをツンツンあわせたり アイコンタクトをとっている。
その姿が 何を喋ってるのかと 擬人化してしまうほどに 人間の親子の姿に似ている。

 「落ちないように しっかりつかまっとくのよ。」とか

 「巣の外はこんなに広いのよ。」とでも言ってるように うけとれるのだ。

 母の背中に負ぶわれ 親にいとおしまれ 守られていた至福の時を カイツブリに
思い出させてもらった 幸せな一時だった。


その1 カイツブリの背中

その2 コサギのダンス

その3 鴨川のユリカモメ

その4 コゲラの巣立ち



inserted by FC2 system